ファスナーの船
- 2004
- ラジコン:25×60×20cm
船:300×1137×465cm - 素材:ラジコン/繊維強化プラスチック、モーター、ラジオコントロールユニット
船/発砲スチロール、ウレタン塗装、繊維強化プラスチック、漁船
飛行機の窓から東京湾を見下ろしたとき、海を進む船と航跡がファスナーのように
見えました。それをきっかけにラジコン式のファスナーの船をつくり、公園の
池の水面を「開き」ました。本物と違うのは、常に進むルートが決まっていないこと。
いつか人が乗れる巨大なファスナーの船をつくって大海原を切り開き、その様子を
山や上空からみんなで見てみたいと思っていました。そして2010年、瀬戸内国際芸術祭を
舞台に海を開くチャンスが到来しました。芸術祭への参加には「人が乗れる」という
条件が求められ、厳しい船舶の検査を通過する必要がありましたが、多くの
人の協力によって、全長11.37メートル、 重さ5.3トンのファスナーの船が実現しました。
船内の座席の配置は、限られた空間を有効に活用するために「お見合い席」にしました。
すると向かい合って座った人と偶然足が交互になり、ファスナーの噛み合う
金具のように見えて、思わず互いに笑いました。ファスナーの船の船内は、開く直前の
つなぐ空間でもあることに気づきました。