Photo : Katsuhiro Ichikawa
まばたきの葉
- 2003
- 葉:10.5×5.5×0.02cm / 装置:600×80×80cm
- 素材:紙、繊維強化プラスチック、送風機、木材、ベンチ
表には開いた眼を、裏には閉じた眼をプリントした
紙を葉の形にカットすると、空中でくるくると回転して
「まばたき」をしているように見えます。
円筒を幹に見立てることで、吹き上げられた葉が「木」を描き出しているように
見えてきました。透明な枝を一瞬にして空間にはりめぐらし、落葉樹の
一年のサイクルをわずか数秒で表現しているように見えてきました。たくさんの葉に
頭の先から包み込まれる感覚は、自分も1本の木になったような気分になります。
葉が次々と差し込まれ人の手から飛び立っていく様子は、「木」に身が
乗り移っているようにも感じられました。子供たちは無心に葉を拾い集め、
舞い落ちる葉を必死に追いかけます。はじまりもおわりもない永遠に
続きそうな遊びの空間がうまれました。
空高く打ち上げられた葉は上空に巨大な「木」を描き出し、街は一瞬にして
「まばたき」に包み込まれます。そのときに使う葉は食用の紙でつくろうと考えています。
環境のことを考えて土に還すためでもありますが、もしかすると空腹の鳥が
空中でキャッチして、ついに「まばたき」と「はばたき」が出会う瞬間が
見られるかもしれないと思っているのです。